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2025年12月定例会・一般質問における私の質問、「さい帯血バンクの推進について」の内容です。

2025.12.11

公的さい帯血バンクの必要性等について

▶ごとうかおり

ふくおか政策の会の後藤香織です。

「さい帯血バンクの推進について」知事に質問します。

白血病などの難治性血液疾患に対し、造血幹細胞移植は命を救う重要な治療法です。

その提供源として「骨髄バンク」と「公的さい帯血バンク」がありますが、さい帯血バンクの認知度は低く、運用の仕組みの違いから県の関与にも差があります。

そこで今回は、より多くの命を救うことに繋がる「公的さい帯血バンク」を推進する立場から、質問を進めさせていただきます。

臍帯血とは、出産時に、へその緒や胎盤から採取される造血幹細胞を多く含む血液のことで、白血病治療だけでなく再生医療研究にも欠かせない医療資源です。

特定非営利法人全国骨髄バンクによると、2024年度、移植を待つ患者1,869人のうち、実際に移植を受けられたのは1,021人と約半数でした。

家族間でドナーが見つからない場合の非血縁者間移植では、骨髄や臍帯血が必要となるため、より多くのドナー登録や臍帯血の提供が求められています。

これらを比較すると、骨髄移植では、HLA型という白血球の型のほぼ完全一致が求められ、95%程度の割合で適合ドナーが見つかるものの、移植の割合は約60%に低下します。

また、あっせん期間が130日程度かかること、採取の際の身体的負担、入院で会社を休むなどの社会的負担も大きいという課題があります。

一方、臍帯血移植では、HLA型の一致率が緩和され、理論上、希望患者のほぼ全例で適合臍帯血に出会えるとされています。

その上、赤ちゃんやお母さんには痛みは全くなく、出産の過程にも影響がありません。

2週間程度であっせんすることもできるため、メリットが大きいと考えます。

採取された臍帯血は、白血病などの治療のために無償提供する「公的バンク」と、赤ちゃんや家族の将来利用に備えて、有料で保管する「民間バンク」とに分けられます。

公的バンクは全国に6か所で、九州は、本県に日本赤十字社「九州さい帯血バンク」があります。

福岡県は、骨髄バンクには積極的に関与し、ドナー登録の普及啓発や、登録会の実施支援などを行っていますが、公的さい帯血バンクへの県の関与はほとんど見られません。

骨髄バンクの新規ドナー登録者は年平均約3万3千人、公的さい帯血バンクは年間約2万本採取しても基準を満たすのは約2千本ほどと、圧倒的にドナー登録者が多くなっています。

しかし、移植実績の推移をみると、2023年の非血縁者間移植2,459件のうち、1,367件と半数以上が臍帯血移植であり、2015年以降、臍帯血移植が骨髄移植を上回る状況が続いています。

そこで質問します。

「九州さい帯血バンク」で保管している移植に使用可能なさい帯血本数、および移植への供給件数をお示しいただいたうえで、公的さい帯血バンクの必要性について、知事の認識を伺います。

 

▶服部誠太郎 福岡県知事

公的さい帯血バンクは、白血病などの治療のための移植に用いられる、さい帯血を保存・供給するために国の許可を受けた事業者であり、全国に6カ所あります。

全国の公的さい帯血バンクでは、移植に使用可能な、さい帯血を、今月1日時点で10,619本、そのうち、九州さい帯血バンクでは747本が保存されています。

また、昨年度、移植に提供された、さい帯血の本数は、全国で1,345本、九州さい帯血バンクでは90本となっています。

白血病などの治療のための移植においては、新しい血液をつくりはじめるまでの期間が早いことなどから、骨髄移植の方が優先されますが、適合者が見つからない場合や、適合者が見つかっても移植に至らない場合には、さい帯血移植が選択されています。

このことから、公的さい帯血バンクは、移植を待つ血液疾患の患者にとって、必要な存在であると認識しています

 

九州さい帯血バンクとの連携について

▶ごとうかおり

移植には、細胞の多い高品質な臍帯血の保存数を増やすことが求められています。

保存数を増やすには提供数を増やすことが必要です。

しかし、進む少子化や、公的バンクと民間バンクの違い、提供の仕組み、社会的意義などが十分に周知されておらず、妊婦等に対する情報提供が不足していると考えます。

また、現在、県内で臍帯血を採取できる協力医療機関は12施設に限られ、地域偏在もあります。

臍帯血の安全性を確保するため、条件があるのは承知していますが、採取できない地域が存在することは、妊婦が提供したいと思ってもできない理由の一つとなっています。

例えば、和歌山県では、これまで公的さい帯血バンクの協力医療機関がゼロでしたが、これを改善するため、県と近畿さい帯血バンクが連携し、体制構築を進めた結果、2023年に県内で初めて4つの協力医療機関が誕生しました。

行政の関与により、提供機会を広げた事例です。

公的さい帯血バンクの根拠法である「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」いわゆる「造血幹細胞移植法」では、地方公共団体は、適切な提供の推進に関して施策を策定・実施することや、教育活動、広報活動を通じて「国民の理解を深めるよう必要な施策を講ずる」と、その責務が明記されています。

そのためには、理解を深めるための、骨髄バンクとの合同の啓発活動や、妊婦への情報提供といった周知の強化、また、新規に参入を希望する医療機関があれば、情報提供や支援を行い、採取協力施設の拡大に努めるべきと考えます。

そこで2点目に、今後の公的さい帯血バンクの妊婦への周知啓発や提供機会拡大に向けて、どのように取り組むおつもりか、見解を伺います。

同法では、国、地方公共団体、支援機関、医療関係者が相互に連携を図りながら協力することも定められています。

例えば、兵庫県では、県が主導して公的バンクを整備しました。

「第8次保健医療計画」に、臍帯血バンク事業の支援を明記し、県、日赤、兵庫さい帯血バンクが連携して、リーフレット等を作成・配布といった県民・妊産婦に対する普及啓発や、採取医療機関の従事者等を対象とした研修会を実施しています。

法に則った持続的な提供確保の優良事例だと考えます。

臍帯は本来廃棄されるものですが、適切に採取・保存すれば命を救う医療資源となります。

妊婦が臍帯血提供を選択できる環境を整えることで、救える命は確実に広がります。

県としての前向きな取り組みを求めます。

そこで、この項の最後に「九州さい帯血バンク」と、採取協力医療機関、行政が情報共有や課題整理を行う協議の場を設けるなど、連携を強化すべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。

 

▶服部誠太郎 福岡県知事

日本赤十字社によると、

・ 約1万本のさい帯血が確保されていれば、95%以上の患者に適合する

とされていること

・ 使用されなかった、さい帯血は、10年を目安に廃棄されること

から、全国の公的さい帯血バンクで保存する、さい帯血数を1万本と定めており、現時点では、これを維持するために必要な、さい帯血を採取する医療機関を含めた受入体制が確保できています。

一方で、九州さい帯血バンクからは、「出生数の低下により、現在の確保数を維持することが困難になる恐れがあり、その場合、広報活動や、さい帯血を採取する医療機関の拡大の検討が必要になる」との意見を伺っています。

このため、九州さい帯血バンクが、さい帯血の確保に向けて、どのように取り組んでいくのか、県としてどのような連携ができるのか、まずは意見交換してまいります。

 

要望

▶ごとうかおり

公的さい帯血バンクは、妊婦の無償提供に支えられ、提供者への周知、その採取も、無償の行為で成り立っています。

財源は、国の交付金や臍帯血管理料の一部、そして寄付金ですが、採取・検査・医療材料費などの増加に管理料が追い付かず、ことし10月に行われた「臍帯血による再生医療研究会」では「バンク事業は赤字となってきている」との発言もありました。

臍帯血移植が非血縁者間移植の半数以上を占めるという現状を踏まえ、持続可能なバンク運営のため、国に対しても、補助金交付や臍帯血管理料見直しを要望していただけますよう

お願いを申し上げ、私の一般質問を終わります。

ご清聴ありがとうございました。

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