2020年6月議会における、後藤香織の一般質問の内容です。

2020.6.16「非正規雇用労働者、フリーランスに対する支援について」

▶後藤香織

みなさま、こんにちは。
民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。

本日は、非正規雇用労働者、フリーランスに対する支援、未成年の予期しない・望まない妊娠の防止について、この大きく2つの項目についてお伺いいたします。

まずは「非正規雇用労働者、フリーランスに対する支援について」お聞きします。
新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの方々の生活に影響がでています。

様々な働き方があり、その選択肢は自由ではありますが、このコロナ禍の中で、非正規雇用労働者やフリーランスなどの就労に対する不安定さが一層露呈しました。

現に私の周囲でも、友人のヨガ講師は休業状態となり、派遣社員の方はコロナを理由に解雇されたことからも、相当数の方が職を失ったり、生活に苦しんでおられることは容易に予想されます。

5月末に発表された2020年4月分の労働力調査によると、就業者数は全体で6,628万人と前年同月に比べ、80万人の減少。実に88か月ぶりに減少となりました。男女別に見た場合、男性は27万人の減に対し、女性はおよそ2倍の53万人の減となっています。

この内訳をみると、正規雇用の職員・従業員は63万人増加しているのに対し、フリーランスを含む自営業主・家族従事者は32万人の減、非正規雇用労働者に至っては97万人も減少し、正規雇用とそうでない者の格差が浮き彫りとなりました。
また5月の結果はさらにひどいのではないかと危機感が募る一方です。

そこで、まず1点目に、職を失った非正規雇用労働者やフリーランスといった個人事業主が再び仕事を得ることができるように、県としてはどのような就職支援を行っているのか、また、その支援の周知方法と直近までの支援実績についてお尋ねします。

 

▶知事

非正規雇用労働者の方等を含め、働く場を失った方に対しては、県独自の緊急短期雇用創出事業を市町村と連携して実施しており、6月3日時点で約1000人の方の就職が決定しています。

また、県の若者就職支援センター及び中高年就職支援センターの相談員を増員するとともに、求人開拓専門員を新たに設置し、採用意欲のある県内企業の求人を確保することで、離職者等の早期再就職につなげてまいります。

両センターでは、本年4月、5月に、計880人の方から相談をいただいています。このうち、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて求職活動を行っていることが確認できた方は35人であり、その一人一人の状況に応じた丁寧な就職支援を行っています。

これらの県の取り組みについては、ホームページやSNSによる周知のほか、支援対象となる方が身近な場所で情報を得られるよう、市町村、自立相談支援機関、ハローワーク等の窓口においても周知を行っています。

 

▶後藤香織

2点目に、新型コロナウイルス感染症のもとで影響を受けているフリーランスを含む個人事業主の方々が事業を継続できるよう、県としてどのような支援を行っているのか、その周知の方法と利用実績について、お尋ねします。

 

▶知事

県では、新型コロナウイルスの影響を受けている個人事業者の事業継続を、国の「持続化給付金」と相まって支援するため、国の対象とならない事業者を対象にした「福岡県持続化緊急支援金」を創設し、その速やかな給付に取り組んでいます。

フリーランスの方についても、確定申告において「事業所得」として申告し、事業を継続して営んでいる方々は、給付対象として支援しています。

資金繰りについても、こういった方々を対象に、県制度融資に3年間実質無利子・無担保の「新型コロナウイルス感染症対応資金」を創設するとともに、「緊急経済対策資金」における保証料を県が肩代わりしてゼロとするなど、その支援を強化してきました。
今回、これら2つの資金の融資枠を大幅に拡大するとともに、「新型コロナウイルス感染症対応資金」の融資限度額を3千万円から4千万円に引き上げるための予算をお願いしています。

これらの支援策については、フリーランスを含む事業者に広く周知を図るためフリーランス協会の福岡事務局を通じた広報を行うほか、
ツイッター・LINE、新聞広告、ラジオなど県の広告媒体を活用するとともに、県と包括連携協定を締結している県内のコンビニエンスストアにおけるチラシの配布などを実施しています。

6月15日現在、「福岡県持続化緊急支援金」の給付件数は約8千7百件、給付金額は28億7千万円となっており、うちフリーランスを含む個人事業主の件数は全体の約7割にあたる約5千8百件、金額は14億5千万円となっています。

また、先に述べた2つのコロナウイルス関連融資に関する6月12日現在における保証承諾は全体で約1万5千件、2747億円に上っており、多くの個人事業者にもご活用いただいております。

 

▶後藤香織

次に、フリーランスの中で特に今回はフリーランスの美容師を取り巻く環境について2点、お伺いします。
フリーランス美容師にはミラーレンタルといわれるいわゆる「面貸し」を利用する美容師が増え、最近では美容室全体が面貸しとなるシェアサロンという形態をとる美容室も増加しています。

そこで1点目に、この「面貸し」は美容師法上、どのような取扱いとなるのか、またそれについて知事はどう認識しているのかお伺いします。併せて、県は「面貸し」をしている美容室を把握しているのかもお伺いします。

 

▶知事

「面貸し」とは、自分で店舗を持たないフリーランスの美容師が、他の美容室の空いている席を借りて美容行為を行う形態のことを言います。

美容師法上、正規雇用か否かにかかわらず、美容室の開設者は、従事するすべての美容師を保健所に届け出る必要があります。

届出にあたり、美容師免許及び結核や感染症皮膚疾患の有無に関する診断書を確認しており、適正な美容業務が行われているものと認識しています。このため、美容室が「面貸し」しているかどうかを改めて把握する必要はないものと考えています。

 

▶後藤香織

美容師法第11条1項では、美容所は勤務する美容師の氏名や登録免許番号などを都道府県知事に届け出る義務があります。

また、美容師法第10条2項には、都道府県知事は「美容師が伝染性の疾病にかかり、その就業が公衆衛生上不適当と認めるときは、期間を定めてその業務を停止することができる」とあります。美容室は、人々の生活に欠かせないものです。

今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止においても、全日本美容業生活衛生同業組合連合会がガイドラインを作成し、各美容室において最大限の努力をしていることは承知しております。

しかしながら、面貸しを行っている美容室の場合、その美容室の経営者がフリーランス美容師の日常の行動や健康状況について、十分な把握ができない可能性もあり、今回の新型コロナウイルス感染症に関して、リスクともなりかねません。

また、フリーランスの美容師は正規雇用ではないため、従事者として届出がなされていないことも懸念されています。

そこで2点目に、県としては、届け出が適正に行われるよう、どのような指導を行っているのかお尋ねします。

 

▶知事

県では、保健所において、定期的に美容室に対する監視指導を行っています。その際、従事する美容師の届出が適正になされているかについても確認し、届出がなされていない従事者が判明した場合には、開設者に対し、改善を指導しています。

今後とも、フリーランスを含めた美容師の届出が適正になされるよう、監視指導の徹底を図ってまいります。

 

▶後藤香織

今回取り上げたフリーランスの美容師のみならず、フリーランスという法の狭間にある方々をとりまく環境の改善は急務です。ここで、フリーランスの方々の意識について、触れておきます。

ランサーズの「フリーランス実態調査2018年度版」によると、広義のフリーランスは1,119万人、経済規模は20兆円を超えています。しかしながら平均年収は186万円と決して十分とはいえません。

フリーランス協会の「フリーランス白書2019」では、フリーランス当事者は「出産・育児・介護などの際の休暇や所得補填といったセーフティネット」「健康保険組合」「厚生年金」などが十分ではなく、病気にかかったり、高齢になるなどして働けなくなった際の生活について不安を抱いていることがわかっています。

今後は、フリーランスと業務委託契約を結ぶ企業の果たすべき役割を強化するなど、関係業界団体と一体となり、フリーランスの方へのセーフティーネットを整えていくべきだと考えます。

県には、フリーランスの方々の地位向上を国へ訴えていただけますよう、要望をし、次の項にうつります。

答弁を受けて要望をさせていただきます。

フリーランスの美容師については、その選択は自由であり、勤務時間や業務量に対する裁量が大きいなど、様々な良い点があるのは承知しています。

しかしながら、面貸しをしている美容室においては、フリーランス美容師との業務委託契約を結んでいることが多く、その業務委託費用を外注費として会計処理をする場合は、消費税の課税逃れや社会保険逃れとなっているケースもあると疑われます。

こういった課題があることを指摘し、面貸しサロンの実態把握と適正化を要望します。

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