2022年2月議会における、後藤香織の一般質問の内容です。

2022.3.7「社会的養育の推進について」

▶後藤香織

みなさん、こんにちは。

民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。

まずは、「社会的養育の推進について」お聞きします。

日本では、1989年の1.57ショック以降、少子化対策に取り組んできましたが、子育て世帯は、仕事と家庭との両立、核家族化など、様々な課題を抱えたまま、未だ困難な状況が続いています。

出生数も2021年は過去最低の84万人となり、合計特殊出生率も年々減少傾向となっています。

子どもの数は減少する一方で、児童虐待相談対応件数は1989年以降、一度も減少することなく増加の一途をたどり、子どもたちに深刻な影響を与えています。

本県でも、全国と同様の傾向にあり、児童虐待相談対応件数は、2020年度10,272件と初めて1万件を超え、3年間で8名の児童が虐待により死亡しています。

2度と虐待により子どもが命を落とすことがないよう、対策強化や、虐待等で行き場のない子どもたちにとって、安心して、永続的に人間関係や生活の場を保障する「パーマネンシ―保障」が求められています。

この観点から、質問します。

まずは、養育里親の推進について、以下、3点お聞きします。

国の2017年「新しい社会的養育ビジョン」では、里親等委託率を3歳未満児は2024年度までに75%に引き上げる目標が掲げられています。しかし、本県では、2020年度は、施設措置が全体の76.5%、里親等委託は23.5%と施設措置の割合が多い状況です。

そこでまずはじめに、この「里親等委託率」について、2020年度の3歳未満児、就学前、就学後の割合をそれぞれお示しください。

 

▶知事

本県における昨年度の里親等委託率は、3歳未満の児童で13.9%、3歳以上就学前の児童で24.5%、就学期以降の子どもで24.7%となっています。

 

▶後藤香織

次に、養育里親に対するアフターフォローについてお聞きします。

成立後に、委託が解除となる「里親不調」という事例もあると聞きます。

里親は受託後1年未満に25%がギブアップしているという調査結果も出ています。

例えば、施設と里親間を何度も行き来するといった経験をした子は、「自分はどこへ行っても嫌われて出された」と思い込み、見捨てられの追体験で深く心が傷つくことになるそうです。

一方で、不調となった里親も力不足を感じたり、後悔したりと、傷ついています。

こういったことが起きないように、当事者に寄り添ったアフターフォローが必要と考えます。

そこで2点目に、里親・ファミリーホームに委託されており、措置が解除または児童養護施設等に変更となったケースにはどういった理由があり、何件あったのか、そのうち里親と子どもの関係悪化より不調となった件数はどのくらいの事例があったのか、お聞きします。

また、県では委託後に里親不調が発生しないよう、どのように取り組んでいくのか、お尋ねします。

 

▶知事

昨年度、本県が里親やファミリーホームに委託した子ども208人のうち、措置解除や児童養護施設等に措置変更となった子どもは47人であります。

児童相談所が里親から聞き取ったところでは、そのうち8人が「相性が合わない」や「障がい等を持つ子どもへの対応が困難」など、委託の不調を理由とするものでありました。

里親等への委託後の不調を防止するためには、事前に里親が子どもの特性を十分に把握するとともに、子どもは住まいなど生活環境が変わることを理解しておく必要があります。

このため、児童相談所が子どもと里親の状況を調査し、丁寧なマッチングを行っています。

来年度からは、委託前に里親と子どもが日帰り外出や外泊等を行い、お互いに理解し合える機会を多くつくっていくための事業を新たに始めることとしています。

また、里親からの、発達障がいなどの特性を持つ子どもとの向き合い方などの相談に応じられるよう、児童心理治療施設「筑後いずみ園」に新たに専任の公認心理師を配置することとしており、必要な予算を提案させていただいています。

 

▶後藤香織

次に、県「社会的養育推進計画」についてお聞きします。

国は、代替養育を必要とする子どもの数は今後「増加する可能性が高い」と想定しています。

しかし、本県「社会的養育推進計画」では、代替養育を必要とする子どもの数は10年間で43人減少する、としており、この数字が県の実態にそった算出になっているのか、代替養育を必要とする子どもたちに対する支援の方向性が大きく違ってくるのではないか、と危惧しています。

そこで3点目に、県「社会的養育推進計画」は国の目標値には到底及ばない目標値となっています。県の目標値を超える更なる取組の推進が必要だと考えますが、より一層の推進にむけて今後どう取り組むのか、知事の考えをお聞きします。

 

▶知事

県では、現在、児童相談所の里親委託を推進する専任の職員を2名配置し、児童養護施設等の里親支援専門相談員と連携しながら、

① 里親制度を周知するための説明会
② 里親になりたい方への養育技術習得の研修会
③ 里親の不安や悩みを解消するための、里親同士で情報交換を行う里親サロンの開催や児童を委託した里親への訪問支援

に取り組んでいます。

また、昨年度から、「福岡児童相談所」と「久留米児童相談所」において、専門性と経験を有し継続した里親支援を行っているNPO法人等に委託し、里親の募集から研修、委託後のフォローまで一貫した里親支援に取り組んでいます。

今年度は、この取組を「田川児童相談所」、「宗像児童相談所」に広げ実施しているところであります。

こうした取組により、今年2月末現在の里親登録数は355人と、一昨年度末から約2年間で87人増加しています。

来年度は、この里親支援の取組を県内全ての児童相談所に拡大し、里親等への委託の一層の推進を図ってまいります。

 

▶後藤香織

この項の最後に、特別養子縁組推進のための環境整備についてお聞きします。

「令和3年度 社会保障審議会 児童部会 社会的養育専門委員会」では、児童相談所は特別養子縁組・養子縁組による事案の「永続的な解決」へと移行していくことも早期に、今後の対応の選択肢に含めて考える運用としていくべきである、と指摘しています。

また、国の「新しい社会的養育ビジョン」では、特別養子縁組の成立件数を2024年度までに年間1,000件以上にする目標を掲げ、その取組を推進しています。

さらに、民法改正により、2020年4月から特別養子縁組の対象年齢が6歳未満から15歳未満に引き上げられ、特別養子縁組の対象者が増えたことから、成立件数が増えることが期待されます。

一方で、6歳未満に比べ、それ以上の子どもは、心身が発達・成長していることから、養親の子どもへの対応がより一層難しいともお聞きしています。

そこで、2020年4月以降の特別養子縁組の成立実績とそのうち6歳未満とそれ以上の割合についてお示しください。

また、特別養子縁組成立後、その養親や子どもに対してどのように支援をしているのか、お聞きします。

 

▶知事

児童相談所が里親からの相談を受けお世話をした、一昨年4月から今年2月までの特別養子縁組の成立件数は9件で、そのうち、6歳以上の子どもの成立はありませんでした。

特別養子縁組を含め、養子縁組を行った里親や子どもに対する支援についてでありますが、県では、里親の不安や悩みを解消するため、児童相談所に配置している里親支援のための専任職員が、年1回程度、家庭訪問し相談に応じるほか、里親同士の交流、情報交換の場として県や里親会が開催する「里親サロン」への参加を促すなど継続した支援を行っています。

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