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2023年2月定例会における、私の一般質問「保育サービスの充実について」の内容です。

2023.3.2

多様な保育サービスの必要性について

▶後藤香織

皆さま、おはようございます。民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。

まずは、保育サービスの充実について、知事にお聞きします。

2022年の出生数は約79万9千人と初めて80万人を割り、新聞でも大きく報道されました。合計特殊出生率は1.27と、過去最低だった2005年の1.26に迫る状況です。

この状況に、子育て支援策の効果分析などを続けてきた京都大学の柴田准教授は、少子化対策は20代の人口が急激に少なくなる2025年頃までがタイムリミットとし、結婚・出産する年代の人口がますます減る中、低出生率のままだとさらに急激に人口減少が進む、と警鐘を鳴らしています。

一般的にその結婚・出産をこれから迎える年代にあたるZ世代、全国の18歳から25歳までの男女およそ500人を対象にした調査では、45.7%が「子どもがほしくない」と回答しました。その理由を「お金の問題」と答えた人は2割弱、「お金の問題以外」が4割を超え、「育てる自信がない」「子どもが好きではない」「自由がなくなる」といった理由が多くを占めたそうです。

子どもをもつことが経済的にも、精神的にも大変で、時間を奪われる、と悩む親たちがインターネットなどで自分たちの窮状を「子育て罰」と訴える今の時代、若い方々がこう思うのも当然だと私は思います。

親がいくら頑張ったところで、子どもも一人の人間として親の思い通りにはならず、育てた親の責任になり、社会は子育てに優しくない。

結婚、子育てが「何とかなる」という意識も持てない将来に希望のない時代になっていると感じています。

だからこそ、多様な保育サービスをもって親が子育てを楽しめる、経済的・精神的余裕と子育てに優しい社会をつくっていかなければならないと思います。

そこで1点目に、親の就労に関わらず、全ての子育て世代が享受できる多様な保育サービスを充実させ、その利用者支援をしていくことが重要だと考えますが、知事の認識をお聞かせください。

 

▶知事

子育てをしている家庭の中で、保育所等を利用していない家庭でも、日常生活上の突発的な事情や社会参加などにより、家庭での保育が困難となることがあります。

また、核家族化の進行や地域のつながりの希薄化などにより、育児疲れによる保護者の心理的・身体的負担を軽減するための支援が必要とされています。

こういった状況に対応するため、親の就労にかかわらず、病児保育、保育所等における一時預かりといった保育サービスを利用できる環境を整備しています。今後も、これらの充実を図り利用を促すことで、子育て世帯の負担感を減らすことにつながると考えています。

 

企業主導型ベビーシッター利用者支援事業について

▶後藤香織

保育サービスの中で、今回は特に、ベビーシッターの利用促進について伺います。

イギリス等ではナニーと呼ばれる家庭訪問型の保育サービスを提供する、乳幼児教育・保育のプロとして働く方が住み込み等で子どもの教育や成長に継続的にかかわるシステムもあり、子どもを預けたり、親以外が子育てに関わることが当たり前になっています。

日本にはこういった常識がまだ形成されておらず、ベビーシッターを利用する際には「母親がさぼっている」ような雰囲気があり、利用をためらう声をよく聞きます。

また、費用の面でも、例えば3時間で約6,000円~1万円程度であり、利用には、壁が高いのが現状です。

2020年の調査では、ベビーシッターの利用により、不安・ストレスの解消、パートナーとの関係改善、利用した保護者の99.0%が、「ベビーシッターが第二子以降の出産のきっかけになる」、89.2%が「ベビーシッターを勧めたい」と回答し、満足度が高いことがわかります。

そこで、ベビーシッターの利用を促進する立場から、以下、質問します。

現状、本県でベビーシッターを利用した際に、利用者が補助を受けられるのは、内閣府の実施する「企業主導型内閣府ベビーシッター利用支援事業」があります。

これは厚生年金に加入する従業員を抱えるすべての企業が納税している「子ども・子育て拠出金」により、その会社に勤める社員が「多胎児を養育するご家庭」であったり、「仕事と育児の両立支援のため」にベビーシッターを利用する際に支払う利用料金の一部又は全部を助成する事業です。

しかしながら、国内の承認事業主は2022年12月時点で全国で3,560社であり、事業自体がなかなか知られていないのが現状です。

会社の福利厚生の充実と社員の仕事と家庭の両立がしやすい環境整備にもつながるこの制度を、本県でもぜひ多くの方に利用していただきたいと思います。

そこで2点目に、この事業の更なる利用促進のための県の取組について、お聞きします。

 

▶知事

この事業は、内閣府から委託を受けた公益社団法人全国保育サービス協会に企業が事前に登録し、当該企業の従業員がベビーシッター派遣サービスを利用した場合に、国と企業とが一体となって、その従業員が支払う利用料金を助成する事業であります。

県としては、県のホームページのほか、経済団体を通じて広く県内の企業に周知を図ってまいります。

また、従業員の仕事と子育ての両立の支援に取り組まれている県の子育て応援宣言企業約8千社に対しては、メールマガジン配信や登録更新時の機会を捉え、その活用を促してまいります。

 

ベビーシッター利用に対する支援について

▶後藤香織

東京都では「ベビーシッター利用支援事業」を実施し、待機児童対策として1時間150円で利用できる「ベビーシッター事業者連携型」の他、どんな理由でも利用でき、最大年間144時間・36万円分の補助が受けられる「一時預かり利用支援」においてベビーシッター利用の際の費用を都が負担しています。

都が承認した事業者を利用する際に、償還払いにより補助されるしくみで、質も担保され、安心して利用できるしくみになっています。

特に、専業主婦、労働者の約4割を占める非正規雇用労働者は、これまで支援の恩恵をなかなか受けられなかったのが、この都の事業では、全ての子育て世代が利用可能です。

また、知事は、来年度予算案にて約120億円の「出産・子育て応援基金」を設置し、県内全ての病児保育利用料の無償化、不妊治療の自己負担額の7割助成を実施し、子どもを安心して産み育てることができる地域社会づくりを積極的に推進していく、と説明されました。

そこでこの項の最後に、本県でも、東京都のように、誰でも、仕事や通院、自己実現、学校行事など、日常生活上の突発的な事情や社会参加などで一時的に保育を必要とする場合などに、利用できるベビーシッター利用のための支援事業を開始し、その補助を検討してみてはいかがでしょうか、知事の見解をお聞きします。

 

▶知事

東京都では、待機児童の受け皿となる施設整備が追いつかない中で、平成30年度に、即応可能なベビーシッター利用のための支援を開始しました。

また、一昨年度には、同様に一時預かり施設の整備が容易に進まない中で、一時的に保育を必要とする方を対象としたベビーシッター利用のための支援を開始したところであります。

本県においては、これまで待機児童の解消に向けて、施設整備や保育士確保などに取り組んできました。

一時預かりに対応する施設も、平成29年度の533施設が、昨年度で618施設と85施設増加し、日常的に保育を利用しない方でも活用できる環境は整ってきています。

これまで、市町村や県内の事業者、保護者等の代表者で構成される福岡県子ども・子育て会議においても、ベビーシッターの利用に関し、支援を求める声は特にありません。

県としては、今後とも、市町村と連携し、一時預かりの実施施設を増やすなど、子育てしやすい環境を整えてまいります。

 

要望

▶後藤香織

知事からは、現状では、ベビーシッター利用への支援は考えていない、とのことでした。

ベビーシッターは、施設での預かりと異なり、1対1できめ細かい保育を行うため、安心して保育をお願いすることができます。

ひとり親家庭や障がい児保育、病児・病後児等、これまで施設での預かりでは、フォローできなかった保育を担っている面もあります。

ベビーシッターの利用を希望する子育て世代の皆様の選択肢の一つとして、より利用しやすい体制を整えていただきたく、要望します。

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