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2025年6月定例会・予算特別委員会における私の質問、「福岡空港内の米軍基地と土壌汚染について」の内容です。

2025.6.24

福岡空港における米軍機の年間着陸回数について

▶後藤香織

ふくおか政策の会の後藤香織です。

「福岡空港内の米軍基地と土壌汚染について」質問してまいります。

ご承知のとおり、現在の福岡空港は、かつて米軍・板付基地として使用されていました。

1955年には、板付基地の返還を目的に、福岡市議会、自治協議会をはじめとする地域団体や県・市・各種団体により、「板付基地返還促進協議会」が設立され、長年にわたって返還運動が続けられてきました。

1968年、板付基地に向かっていた米軍の偵察機ファントムが、九州大学の建設中の校舎に墜落。

幸い負傷者は出ませんでしたが、学生たちはバリケードを築いて米軍による機体の回収を阻止しました。

残骸が7か月間校舎に残されたことは、基地反対運動の象徴となり、その後の返還運動を大きく後押しする契機となりました。

こうした経緯を経て、1972年には板付飛行場および隣接する山間部の大部分が返還され、さらに2016年には、私の地元・早良区と佐賀県にまたがった「米軍背振山通信施設」もようやく全面返還されました。

現在では、板付基地の約95%が返還されていますが、戦後80年となった今も、残念ながら全面返還には至っておりません。

ここでまず、米軍板付基地の現状について伺います。

報道によると、2021年には、「5日に1回」のペースで米軍機が福岡空港に飛来しており、民間航空機も利用する空港としては最も多かったとのことです。

福岡空港は全国一の過密空港としても課題となっていますが、

 2022年以降の米軍機の福岡空港年間着陸回数と、民間航空機が利用している空港の中で、福岡空港における米軍機の年間着陸回数は、全国的にどの位の多さになるのか、教えてください。

 

▶防災企画課 課長

福岡空港における米軍機の年間着陸回数は、2022年が60回、2023年が43回、2024年が41回となっています。

その着陸回数は、全国の民間の航空機が離着陸する空港の中では、2022年が1番目、2023年が6番目、2024年が3番目の多さとなっています。

 

土壌汚染の実態について

▶後藤香織

今、お示しいただいたように、全国的にも多い着陸回数なのではないかと思います。

このように、福岡空港は現在も一部が米軍板付基地として実際に使用されています。

2021年には、米軍施設の移設が完了し、この総費用30億円については、空港法に基づき、そのうち10億円を福岡県と福岡市が負担しています。

2015年度からの調査では、福岡空港の旧米軍板付基地の敷地から土壌汚染が判明しました。

汚染原因として過去に使用されていた燃料等が疑われています。

因果関係が明確に立証されたわけではありませんが、土壌汚染の除去費用についても、国が3分の2を支出し、残りの3分の1を福岡県と福岡市が負担しているとのことです。

そこで、ここからは福岡空港の土壌汚染についてお聞きしていきます。

ちょうど昨日、福岡国際空港株式会社FIACが、福岡空港国際線ターミナル南側での工事に伴い、昨年11月、土壌調査を実施したところ、9か所のうち、3か所から基準値を超える鉛や鉛化合物が検出されたと発表しました。

これに対し、FIACは、健康被害の恐れはなく、該当箇所を避けて行うため、掘削などの汚染土壌の除去はしないとのことです。

県等に費用がかからないとしても、土壌汚染が見つかるたびに、近隣住民の不安は増えるばかりだと思います。

本年3月20日には、福岡空港に2本目の滑走路が完成しました。

これに先立って2023年1月、国土交通省九州地方整備局が福岡空港内9,300㎡について、土壌汚染の調査を行い、その結果を公表しました。

それによると、今後、関係行政機関の指導のもとで環境保全措置を講じるとされ、この土壌汚染への対策は2022年度から開始されているとのことです。

そこでこの時に、新たに判明した土壌汚染の実態はどうだったのでしょうか。

 

▶空港政策課 課長

国は、2021年度の調査結果について、

調査箇所の一部で土壌汚染対策法に基づく指定基準を超える鉛及びその化合物が検出され、確認された汚染物質については、汚染箇所において地下水汚染は無く、また、直接あるいは、地下水を経由して人が摂取する経路は無いため、健康被害が生じるおそれはなく、また、土壌汚染の取り扱いについては、土壌汚染対策法に基づき、掘削除去を行う等適切に対応して参る。

と発表しています。

 

汚染土壌の除去および原状回復について

▶後藤香織

指定基準を超える鉛やその化合物が検出されたものの、地下水汚染はないため、健康被害の恐れはない、ということですが、

では、この時に、判明した汚染土壌の除去および原状回復は、どのような方法で実施され、いつまでに完了するのでしょうか。

 

▶空港政策課 課長

国は、2021年度の調査により土壌汚染対策法に基づく指定基準を超える鉛及びその化合物が15箇所で検出されており、そのうち7箇所を掘削除去、残りの8箇所は土壌汚染対策法に基づき適切に管理を行って参る、と発表しています。

なお、国から、既に2022年度までで完了している、と聞いております。

 

「空港整備事業費負担金」における負担額について

▶後藤香織

2022年度までに全て終了したとのことです。

本来ならば、国の直轄事業負担金として「空港整備事業費負担金」の中に予算が入るところですが、

つまり、今予算の「空港整備事業費負担金」35億8000万円余の中に、今年度、本県の負担額はないということでしょうか? 今後の除去に係る見込み額はどの程度と見積もっているのでしょうか?

 

▶空港政策課 課長

国に確認したところ、現時点では追加で除去を行う予定はないと聞いております。

 

汚染土壌の除去費用について

▶後藤香織

現時点では、ないということですね。

それでは、これまで滑走路増設事業に伴って調査した結果、判明をした土壌汚染の除去に要した費用については、福岡県および福岡市がそれぞれどの程度負担したのでしょうか。

 

▶空港政策課 課長

国に確認したところ、2015年度に福岡空港滑走路増設事業に着手して以降、2019年度から2022年度の4年間で汚染土壌除去の対策を行っており、要した経費は約11億4千万円と聞いています。

なお、県と福岡市の負担については、滑走路増設事業の一環として実施されたことから、空港法に基づき、両者で汚染土壌の除去に必要な事業費の3分の1を負担することとなり、県の負担が約2億3千万円、福岡市の負担が約1億5千万円であります。

 

日米地位協定の「環境補足協定」について

▶後藤香織

2019年度から2022年度の4年間で、福岡県が約2億3千万円、福岡市が約1億5千万円をそれぞれ負担しているとのことでした。

本来であれば、環境汚染は「汚染者負担の原則(PPP:Polluter Pays Principle)」に基づき、汚染の原因者が責任を負うべきであると思います。

米軍基地内であっても、日米地位協定の「環境補足協定」があるにも関わらず、米軍には費用負担が課せられていません。

滑走路増設事業の一環として、本県が除去費用を負担している点について、私は非常に不合理だと考えます。

仮に、今後、基地由来の環境汚染が確認された場合には、必要に応じて立ち入り調査を実施し、すみやかに汚染源を特定し、情報公開を行うべきと考えますが、日米地位協定上、どのような対応が可能でしょうか。

 

▶防災企画課 課長

一般論としてのお答えになりますが、日米地位協定の環境補足協定には、環境に影響を及ぼす事故が現に発生した場合、国、都道府県又は市町村が、米軍が使用している施設及び区域へ適切な立ち入りを行うことができるよう手続きが定められており、現地視察やサンプル採取を行うことを認めるよう米軍に申請することができると定められています。

この申請に対し、米軍は、軍の運用や施設等の運営を妨げるか否かについて考慮し、できる限り速やかに立ち入り等の可否について回答すること、とされています。

 

要望

▶後藤香織

福岡空港周辺には、土壌汚染の他にも騒音等の環境問題もあり、地域住民にも十分な理解を得ることが大切です。

今後も迅速な情報共有を求めます。

また、日米地位協定の「環境補足協定」は、先ほどもご答弁にあったように補償や立入に対し、直接的な義務がなく、実効性が非常に低いものとなっています。

米軍基地に起因する問題を抜本的に解決するためには改定が必要です。

日米地位協定の抜本的な改定について、引き続き、県から国へ要望していただくことをお願いし、質問を終わります。

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