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2025年6月定例会・予算特別委員会における私の質問、「子どもの入院に伴う付き添い家族への支援について」の内容です。

2025.6.25

入院中のこどもへの家族等の付添いに関する病院実態調査について

▶後藤香織

ふくおか政策の会の後藤香織です。

「子どもの入院に伴う付き添い家族への支援について」お聞きします。

子どもの入院に伴う付き添いの形態は2種類あり、1つは家族が小児病棟に24時間泊り込んで付き添うもので、いわゆる「付き添い入院」。

もう1つは病室には泊まり込まず、自宅やファミリーハウスから通って付き添うもので「面会」と呼ばれています。

まずはじめに「付き添い入院」についてお聞きします。

現在の制度では、入院中の患者の世話は看護師らが担うものとされており、家族の付き添いは原則不要となっています。

しかしながら、厚労省の通知では「小児患者または知的障害を有する患者等の場合は、医師の許可を得て家族等が付き添うことは差し支えない」としており、病院側から、家族に入院の付き添いを求めていながら、建前上では、家族が付き添いを希望し、病院側が許可したという「許可証」を書面提出するという実態も見受けられます。

保護者が付き添いをすることは子どもの心の安定の面など子どもにとっては大変良いのですが、付き添い入院をする保護者とっては、入院した子どもには病院食がでますが、付き添いの保護者には食事がでないため、十分な食事がとれないことや、小さい子どものベットに一緒に寝たり、一日中気を張り詰め休まらない、など、大変だった、という経験をお聞きしています。

また、保護者が付き添えず入院できないケース、入院の長期化により、保護者が離職するケースもあります。

私も長女が3歳の頃、ぜんそくの発作で入院したため、付き添い入院を経験しました。

短期の入院、そして当時長男が0歳で育休中だったため、仕事を休む心配はなかったものの、その大変さを経験した一人です。

今回は、子どもの入院に付添うご家族の環境を改善したいという思いで質問させていていただきます。

こども家庭庁は、こういった付き添い入院の実態を把握するため、昨年2024年4月、入院中の子どもへの世話を家族が泊まり込みで行う「付き添い入院」に関して、初めて実態調査を行い、その結果を公表しました。

ここで、あらかじめ「入院中のこどもへの家族等の付添いに関する病院実態調査(概要)」についての資料を執行部に要求しておりますので、資料をお願いいたします。

 

▶保健医療介護部 医療指導課 課長

〇要求資料
「入院中のこどもへの家族等の付添いに関する病院実態調査(概要)」

【要求資料】入院中のこどもへの家族等の付添いに関する病院実態調査(概要)

 

福岡県の病院の実態について

▶後藤香織

資料にありますように、医療機関側から「こどもの病状等を勘案したうえで基本的に付き添いをお願いしている」ケースが43.6%と多いことがわかりました。

寝具の貸与は85.2%と、貸与を行っていなところの方が少ないですが、食事はコンビニが80%を超え、病院食を提供しているところは29%に留まっていることもわかりました。

それでは、福岡県の病院の実態についてはどうなっているのでしょうか?

 

▶保健医療介護部 医療指導課 課長

今年1月に小児医療の拠点となっている24の病院に対し、付き添いの実態や環境整備に係る意向について調査を実施しています。

調査では24の病院のうち、87.5%にあたる21の病院から回答をいただいたところであります。

小児の入院時の宿泊を伴う付添いについては、

「こどもの病状によって付添を依頼」しているが全体の62%、

「家族が付添希望の場合、原則許可」しているが33%、

「家族が付添希望の場合、条件付で許可」しているが5%、

となっています。

また、家族が付添いをしている比率についてお尋ねしたところ、

ほぼ100%付添いが行われている病院が14%、

8割以上が付き添いをしている病院が52%、

6割以上が付き添いをしている病院が33%、

となっています。

 

県内の小児入院医療管理料を届出ている医療機関について

▶後藤香織

県内では「こどもの病状等を勘案したうえで基本的に付き添いをお願いしている」ケースが全国よりも割合が高く、それに対し、高い割合で家族が付き添っていることがわかりました。

昨年度2024年度の診療報酬改定で、「小児入院医療管理料」が認められている病院では、保育士や夜間の看護補助者を採用、増員した医療機関に診療報酬を加算することとし、付き添いの家族は保育士に子どもを見てもらう間に休息や食事を取ることができるような仕組みとなりました。

その上で「小児入院医療管理料」において、付き添い入院の際の家族の食事や睡眠環境などに配慮することが規定され、この管理料を大いに活用していただきたいと思っています。

そこで県内で、小児入院医療管理料を届出ている医療機関はいくつあり、またそれは入院が可能な小児科を標榜する医療機関に対し、どの程度の割合なのでしょうか。

 

▶保健医療介護部 医療指導課 課長

小児入院医療管理料の届出を管理する九州厚生局によると、令和7年5月20日現在で、福岡県内にて小児入院医療管理料を届出ている病院は29となっています。

本県では小児科を標榜している病院が令和7年4月1日現在で、92ありますので、全体の31.5%が届出を行っています。

 

付き添い入院の課題、「小児医療管理料」の周知及び「入院中のこどもの家
族の付き添い等に関する環境改善事業」の活用についての考えについて

▶後藤香織

全体の31.5%の29の医療機関が「小児医療管理料」を届出ているとのことです。

国も、2024年度補正予算で「入院中のこどもの家族の付き添い等に関する環境改善事業」を創設しています。この事業を活用すれば「小児入院医療管理料」も届出ることができるため、非常に有効だと考えます。

そこで、付き添い入院の課題とともに、この「小児入院医療管理料」について、医療機関へ周知し、ぜひ活用してほしいと考えますが、どのように周知を図るのか、教えてください。

併せて「入院中のこどもの家族の付き添い等に関する環境改善事業」の活用について、どのようにお考えかお聞かせください。

 

▶保健医療介護部 医療指導課 課長

こども家庭庁では、「入院中のこどもへの付添い等に関する医療機関の取組充実のための事例集」を作成しており、その中では、付き添い家族の睡眠や食事、入浴などの環境に工夫や配慮を行っている医療機関の取組のほか、小児入院医療管理料の要件及び評価の見直しが行われたことなどが記載されています。

県では、当該事例集を医療機関に配布し、入院中のこどもの家族の付き添いに関する環境改善に向けた取組について検討を行うよう促してまいる考えであります。

そのうえで、小児の医療提供体制の在り方について協議する小児医療協議会において専門家のご意見を伺いながら、支援の在り方について検討を進めていきたいと考えています。

 

「ミールプログラム」について

▶後藤香織

ぜひ検討を進めていただきたいと思います。

小児がんや難病の治療を受けている子どもたちは、長期の入院をしています。

泊まり込みで24時間付き添いをするご家族もいれば、面会での付き添いのご家族もいます。

そこで次は、面会の場合などに利用する「ファミリーハウス」についてお聞きします。

私は、遠方から通う家族が面会するための宿泊施設を運営する「NPO法人福岡ファミリーハウス」を視察しました。

代表の高原さんも、付き添い入院を経験した当事者であります。

福岡ファミリーハウスは、ハウス利用者や九大病院、九州がんセンターなどの長期入院されている付き添いのご家族に、無料で温かいごはんを届ける「ミールプログラム」も行っており、大変喜ばれているそうです。

特に、九大病院へのミール支援については、国立病院に完全ボランティアで無償の手作りのあたたかい食事を提供していることは全国でも初めての事例とのことです。

しかし、こういったミール支援を実施するには病院側からの許可が必要となることや、食材も寄付、運営もボランティアで実施している、厳しい現状もあります。

そこで、こういった「ミールプログラム」をより多くの方にご利用いただくには、県としてどういったことができるのか、教えてください。

 

▶保健医療介護部 医療指導課 課長

医療機関は食中毒や院内感染の発生予防に細心の注意を払って運営しており、外部からの食事等の持ち込みについて、その安全性を考慮し、持ち込みを許可するかしないかについての判断をしているものと思っています。

このため、NPO法人の実施する「ミールプログラム」について、県が何らかの支援を行うことはできませんが、先程ご説明いたしました事例集において、付き添い家族の食事の環境への配慮に係る取組も複数紹介されており、県としましては、事例集の配付を通じて医療機関に対し情報提供してまいります。

 

▶後藤香織

お答えいただいたように、課題もあるとは思いますが、情報提供をどうぞよろしくお願いいたします。

また「NPO法人福岡ファミリーハウス」は、ボランティアで行ってきたため、何度もハウスの閉鎖の危機がありました。

昨年9月には、1つのハウス2部屋が閉鎖し、3年後には1ハウス3部屋が閉鎖の危機にあります。

安定的な運営が、病気と闘う子どもたち、そしてそれを支えるご家族のために欠かせないと考えます。

東京都、愛知県などでは、ファミリーハウスの運営を県が費用助成し、NPOが運営する形で支援しています。

子どもの入院に伴う付き添い家族の支援のためにも県から、ファミリーハウスへの支援を強く要望します。

 

子どもの入院に伴う付き添い家族への環境改善に向けて部長の決意につ
いて

▶後藤香織

最後に、子どもの入院に伴う付き添い家族への環境改善に向けて、部長の決意をお聞かせください。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

▶保健医療介護部 部長

入院生活は、入院するこどもやその保護者にとって、日常生活とは異なる環境となることから、不安に感じられることも少なくないものと考えており、実態調査からも付き添いを行うケースが多いことが示されています。

入院中のこどもが安心して治療を受けるためには、その家族の支えが継続されることが重要でありますが、支える家族の負担も大きいことから、その負担を軽減するため、医療機関における環境改善の取組は極めて重要なこと
であると考えています。

本県においても、子どもの入院に付き添う家族の環境改善についてしっかりご検討いただくよう医療機関に促し、入院中のこどもやその家族が安心して入院生活を送ることができるよう努めてまいります。

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