
2025年9月定例会・一般質問における私の質問、「子どもたちが安心して学校生活を送るための取組について」の内容です。
2025.9.18
Contents-目次-
【部活動における熱中症対策について】中体連、高体連における県大会の実施状況について
▶後藤香織
ふくおか政策の会の後藤香織です。
まずは、部活動における熱中症対策についてお聞きします。
今年も猛暑が続き、もう暑いだけでは済まされない時代になりました。
学校部活動においては、熱中症の危険性がより高くなるにも関わらず、その対策が不十分と考えます。
国が2024年4月に改訂した「学校における熱中症対策ガイドライン」によると、暑さ指数WBGTが31以上では「原則運動を中止する。特に子どもの場合には中止すべき」とされています。
今年の夏はWBGTが33以上の場合に発出される熱中症警戒アラートが、8月末までに福岡地方に43回発出されました。
そのような中、県大会が夏に実施をされていることから、大会に向けて夏に練習をせざるを得ない状況とも言えます。
そこでまず、中体連、高体連の県大会について、屋外で実施する競技はいくつあるのか、その上で、県大会の時期や開催時間をずらすことについて、検討しないのでしょうか、教育長の見解をお尋ねします。
▶教育長
中体連、高体連における県大会の実施状況についてでございます。
屋外で実施している競技は、中体連大会は19競技中8競技、高体連大会は31競技中14競技でございます。
開催時間については、熱中症防止の観点から、開会式の簡素化による競技開始時間の前倒しや、種目特性に応じた競技時間の設定などの工夫を行っております。
また、開催時期についても、県教育委員会と学校体育団体において検討を重ねているところです。
【部活動における熱中症対策について】部活動における熱中症対策について
▶後藤香織
2点目に、中体連、高体連の県大会や地区大会において、炎天下で運動する場合、適切な熱中症対策として、日よけシェードで日陰を作ったり、ミストシャワーの設置、クーリングシェルターなどの休憩所が必須だと考えますが、今年はどのような対策がなされたのか、併せて、来年度以降の更なる対策について、お聞かせください。
▶教育長
県大会等における熱中症対策についてでございます。
今年度は、競技・種目の特性に応じて、試合時間の短縮や給水タイムの設定、冷房室の設置、医療関係者の配置等の対策を実施しており、今後もこれらの対策に加え、学校体育団体と連携し、より効果的な対策について検討し
てまいります。
【スポーツハラスメント対策について】部活動指導員や外部指導者の質の担保について
▶後藤香織
次に、スポーツハラスメント対策についてお聞きします。
学校部活動の運営については、現在、教師、部活動指導員、外部指導者などがその運営に携わっています。
外部指導者は、部活動指導員以外の指導者で、学校設置者との雇用関係によらず、学校外の指導者等との連携・協力関係のもと、部活動の指導に加わってもらう方のことを指します。
スポーツ庁は、外部指導者の適切な人材要件を示しており、本県でも「福岡県学校部活動の在り方に関する指針」において外部指導者の位置づけが定められていますが、具体的な任用条件やしくみは学校ごとに差があり、十分に制度化されていないのが実情です。
この部活動の外部指導者について、私はこれまでに何度か、女子生徒へのハラスメントの相談を受けました。
生徒とLINEを交換して、毎日メッセージを送ってくる、自分の指導を聞かなければ孤立させる、セクハラされた、などといった内容です。
同指針では、部活動指導員や外部指導者に対し、「生徒の人格を傷つける言動や、体罰およびハラスメント等はいかなる場合も許されないこと、服務を遵守することなどに関し、校長は任用前、および任用後の定期において研修を行うこと」とされています。
学校部活動の地域移行が進む中、外部指導者の質の担保が必要だと考えます。
東京都教育委員会では、学校が外部指導者を直接依頼する以外にも、あらかじめ 教育委員会等が外部指導者を登録し、必要に応じて活用できる仕組みを整備しており、本県もこういった任用のしくみを作ることを要望いたします。
ここで質問します。
部活動指導員や外部指導者に対し、ハラスメントなどの研修についてどのように取り組んでるのか、併せて、部活動指導員や外部指導者の質の担保のため、任用にあたっての判断基準等を示すべきではないでしょうか、教育長の見解をお聞きします。
▶教育長
部活動指導員や外部指導者の質の担保についてでございます。
単独での指導や大会引率ができる県立学校の部活動指導員は、競技等に関する専門的な知識・技能と学校教育に関する十分な理解を有する者を任用することとしており、ハラスメント等 の防止を含め、部活動指導員の資質向上
のために、県教育委員会及び校長による研修を実施しております。
また、現在、技術指導等を補助する外部指導者の任用については、学校長が判断しておりますが、今後は、部活動指導員に準じた人材を採用するとともに、校長による定期的な研修を行うよう、改めて管理職研修会等において
周知してまいります。
なお、市町村教育委員会においても、県と同様に取り組むよう働きかけてまいります。
【スポーツハラスメント対策について】ハラスメント等を受けた生徒の相談窓口について
▶後藤香織
2025年6月、スポーツ基本法が制定以来はじめて改正されました。
改正法29条では、スポーツを行う者に対する暴力や優越的な関係を背景とした言動、性的な言動に対して、国や地方公共団体は必要な措置を講じなければならないと明記されました。
スポーツ現場での暴力や暴言などの「スポーツハラスメント(スポハラ)」については、日本スポーツ協会の調査で、2024年度の相談件数が536件と過去最多を記録したとのことですが、私は、これは氷山の一角であり、表面化していないスポハラが多くあると感じています。
そこで、部活動におけるハラスメント等について、被害をうけた生徒が、気軽に相談できる専用の窓口を設置し、被害防止に取り組むべきだと考えます。こういった学校におけるスポハラへの対策強化について、教育長の見解をお聞きします。
▶教育長
ハラスメント等を受けた生徒の相談窓口についてでございます。
スポーツに関わる生徒が暴力やハラスメント等で悩んだときに相談できるよう、学校での相談窓口に加え、それぞれの中央競技団体等が専用窓口を設置し、ホームページで周知しています。
これらの相談窓口を生徒がいつでも利用できるよう、市町村教育委員会及び各県立学校に対し、さらなる周知を図るとともに、学校体育団体と連携し、び各県立学校に対し、さらなる周知を図るとともに、学校体育団体と連携し、スポーツにおけるハラスメント等の未然防止や早期発見の取組を徹底してスポーツにおけるハラスメント等の未然防止や早期発見の取組を徹底してまいります。
【児童生徒への性暴力の根絶について】特定免許状失効者管理システムについて
▶後藤香織
次に、児童生徒への性暴力の根絶についてお聞きします。
今年は、日本国内で教師による悪質な盗撮事件などが明らかとなりました。
この10年間で、毎年200人以上の公立学校教育職員が児童生徒等への性暴力を含む、性犯罪や性暴力で処分されています。
来年2026年度から運用される日本版DBSに先立ち、2022年4月に施行された「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」に基づき、教員が児童生徒への性暴力等で教員免許を失効した場合、その教員の氏名や失効理由などの情報を管理する「特定免許状失効者管理システム」を国が整備することとなりました。
免許管理者である都道府県教育委員会は、免許が失効する場合には迅速にこのデータベースに記録すること、また、採用時には各都道府県教育委員会や学校法人がデータベースを活用することを義務化、その情報を基に、慎重に採用を判断するよう求めています。
そこで、教育長にお聞きします。
教員の任命権者であり、教員免許の管理者でもある県教育委員会の、このデータベースの活用状況について、および、教員による児童生徒への性暴力の根絶に向け、どのように取り組むのか、お聞かせください。
▶教育長
特定免許状失効者管理システムについてでございます。
県教育委員会では、非常勤講師も含め全ての採用者について、国のシステムを用いて特定免許状失効者の情報を事前に確認しており、システム運用開始の令和5年度以降、該当者はおりません。
また、特定免許状失効者のデータベースへの記録についても、報告を受けたのち、速やかに情報を登録しております。
教員の児童生徒への性暴力防止については、校長による全教員との面談や校内研修の実施について、校長会や通知により、繰り返し指導しているところです。
加えて、児童生徒に対しては、教員から性暴力を受けた場合の通報窓口の周知や、学校生活アンケートに、教員による性暴力やSNS等による私的なやり取りに関する質問項目を設けるなど、早期発見の取組を行っております。
県教育委員会としましては、特定免許状失効者が再び教壇に立つことのないよう、今後とも、国のシステムを厳格に運用し、教員による児童生徒への性暴力の根絶に努めてまいります。
【児童生徒への性暴力の根絶について】児童生徒への性暴力の根絶に向けたデータベース利用登録状況と今後の取組について
▶後藤香織
「令和6年度私立高等学校等実態調査」によると、学校法人では、このデータベースの「ユーザー登録をできていない」が42%、「ユーザー登録しているが、活用できていない」が33%と実に約75%が活用していないことが明らかとなっています。
特に、私立学校については、児童生徒が教育職員等による性暴力等を受けたと思われる事案が発覚した後、処分の決定がなされる前に依願退職し、その場合には教員免許状が失効しない事例が全国的な課題となっています。
このような課題も含め、児童生徒への性暴力防止という法の目的を達成するためには、教員のわいせつ処分歴を適切に把握し、採用を判断する仕組みの確立が急務となっています。
私立学校の現職の教員が解雇等された場合には、学校設置者は県私学振興課に報告することが義務化されていることを踏まえると、県の、学校法人への更なる指導強化が必要だと考えます。
そこで、知事にお尋ねします。
私立の小・中・高等学校の学校法人の現在のデータベースの利用登録状況と児童生徒への性暴力の根絶に向け、どのように取り組むのかお聞かせください。
▶服部誠太郎 福岡県知事
「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」に基づいて整備されたデータベースの今年8月1日時点での利用登録状況は、国が調査中であり、私立学校における利用登録状況については、各学校法人から県に報告することとなっています。
私 立 の 小 · 中 · 高 等 学 校 で は 、 法 律 に 基 づ き 、 学 校 法 人 が 教 職 員 に よ る 児童生徒への性暴力を防ぐ責任を負っており、採用前に教員の性暴力歴をデータベースで確認することが必要であります。
県としても、このデータベースの活用は性暴力防止にとって非常に重要だと考えており、これまで県私学協会が主催する経営者向け研修会での説明や、データベースの操作マニュアルの配付などを行ってきました。
今後は、国の調査結果も踏まえ、県内全ての学校法人がこのデータベースを登録·活用するよう、個別に働きかけてまいります。
この他にも、県では、性暴力根絶条例に基づき、児童生徒が性暴力の被害者にも加害者にもならないための知識を身につける取組として、希望する私立学校に性暴力対策アドバイザーを派遣しています。
このような取組を通じて、私立学校における児童生徒への性暴力を根絶してまいります。
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