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2023年9月定例会・決算特別委員会における私の質問、「修学支援新制度の見直しと私立学校のあり方について」の内容です。

2023.10.4

「修学支援新制度の見直しの概要」および「私立専門学校の学校数・生徒数等」について

▶後藤香織

民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。

修学支援新制度の見直しと私立学校のあり方について、お伺いします。

国は、家庭の経済状況に関わらず、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校といった高等教育機関に進学できるチャンスを確保できるよう、給付型奨学金と授業料・入学金の減免を併用することで、実質無償化をめざす「高等教育の修学支援新制度」を2020年4月から実施しています。

この修学支援新制度が見直され、来年度(2024年度)から変更することとなっています。

ここで、委員長、あらかじめ、「修学支援新制度の見直しの概要」および「私立専門学校の学校数・生徒数等」の資料を執行部に要求しておりますので、委員会配布のお取りはからいをお願いいたします。

また、配布資料のご説明をお願いいたします。

 

(資料配布)

「修学支援新制度の見直しの概要」および「私立専門学校の学校数・生徒数等」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▶私学振興・青少年育成局

まず、国が予定している私立専門学校の修学支援新制度の見直しについて、私立専門学校に関係する部分をご説明いたします。

資料1ページ目をご覧ください。

上の図は、制度について、左側に「現行」、右側に「今後」を示しております。

「現行」では、世帯年収約380万円までの生徒が制度の対象でしたが、「今後」これは来年度からですが、支援対象が拡大されます。

具体的には、世帯年収約380万円以上約600万円の世帯のうち、理工農系に通っている学生がいる世帯には、理工農系の授業料平均と人文社会学系の授業料平均との差額を支援、扶養する子の数が3人以上である世帯には、住民税非課税世帯、図の「全額支援」の部分ですが、その額の4分の1を支援する予定となっております。

次に、下の図をご覧ください。

専門学校が修学支援制度の対象となるためには、国が定める要件、「機関要件」と申しますが、これに該当する必要があります。

今回の見直しでは、2024年度(令和6年度)から厳格化されますが、この制度が適用されますと、対象校から除外された場合は2025年度(令和7年度)の入学生から修学支援を受けられなくなります。

厳格化の方法を具体的に申し上げますと、資料にありますベン図のとおり、現行では、左側の、

A 経常収支差額がマイナス

B 運用資産と外部負債の差額がマイナス

C 収容定員充足率が8割未満

の3つに重なった、黄色の部分だけが修学支援制度の対象から除外され、文部科学省の試算では、全国で専門学校は11校が該当します。

今回の改正では、右の図のとおり、AとBが重なる部分、緑と黄色の部分に加えて、C′(シーダッシュ)の部分、収容定員充足率が8割未満から5割未満に引き下げられるものの、独立して除外対象とされます。

文部科学省の試算では、全国で、緑の部分は専門学校46校、C´は239校が該当します。

これまで11校のみ除外対象だったものが、296校と大幅に増えることになります。

次に、資料の2ページ目をご覧ください。

こちらは、県内18才人口の推移と、私立専門学校の学校数・生徒数等について、過去5年間の推移を示したものでございます。

 

修学支援新制度の機関要件厳格化について

▶後藤香織

今、ご説明あったように、現在、県内の専門学校の約76%が対象となっている修学支援新制度の機関の要件が厳格化されます。

特に、直近3年間全ての定員充足率が5割未満の場合は、対象外となる、ということでした。

そこで、今年度、機関要件の確認を受けた107校のうち、機関要件を満たさなくなる可能性がある、昨年度・今年度(2022・2023)の2年間、定員充足率が5割未満の学校数はいくつあるのでしょうか、教えてください。

 

▶私学振興・青少年育成局

今年度、機関要件の確認を受けた107校のうち、今年度、昨年度ともに収容定員充足率が5割未満であった学校は12校でした。

 

修学支援新制度対象外となる学校について

▶後藤香織

県内で12の専門学校が2年続けて定員5割未満であるということです。

この12校が今年度も定員充足率が5割未満であった場合、対象外となってしまうことから、この学校に入学しようと考えている生徒にとって、修学支援新制度が受けれず、大きな損害となってしまいます。

そこで、県はどう対応するのでしょうか、お聞きします。

 

▶私学振興・青少年育成局

対象の12校につきましては、定員充足率が3年連続で5割未満となることがないよう、今回の制度の厳格化について十分に説明し、経常収支や定員充足率の改善を進めるよう指導してまいります。

また、この12校が2025年度(令和7年度)の新入生を募集する際は、修学支援制度の対象外となる可能性がある旨告知するよう、指導してまいります。

 

▶後藤香織

「定員充足率の改善を進めるよう指導していく」とのことでした。

国では「事前に、学校側に定員数減の手続きを進め、定員充足率が5割未満とならないようにする」ことも可能としていますが、私もそれは、機関要件の厳格化をした本来の意味とは違う、ただの数合わせだと考えます。

それをせずに改善をめざすということですので、大変難しいのではと思いますが、生徒に不利益がないよう、対応をしていただくことを要望します。

 

専門学校のあり方について

▶後藤香織

そもそも、今回の見直しが検討された「教育未来創造会議」では、この機関要件の厳格化について「大学の経営困難から学生を保護する視点」で行うとされており、機関要件の厳格化と併せて「計画的な規模の縮小や撤退等も含めた経営指導の徹底」も行うことを提言しています。

また、2ページ目の資料でわかるとおり、本県の私立専門学校の校数は新設・廃校が行われ、この5年間でほぼ横ばいであるものの、総定員数に対する生徒の総数は約64%~69%と7割に満たない状況です。

参考に記載しています、県立3大学と比較しても、また、減少傾向の18歳人口や大学・短大の専門学校化が進んでいることを踏まえても、そのあり方について、改めて考える時期にきており、私立専門学校の設置認可権者である県にもその責任が求められていると考えます。

そこで、設置認可の厳格化や撤退等も含めた経営指導の徹底を図り、今後の専門学校の認可方針など、専門学校のあり方について、どうお考えか、お聞かせください。

 

▶私学振興・青少年育成局

専門学校は、社会的な要請に応える実践的な職業教育を行う機関としての性格を有しており、学校は社会の多様な要請に柔軟に対応して職業人を育成しています。

専門学校の設置や学科の改編などにあたっては、入学者の確保の見込みや卒業後の社会での活躍の場が明確になっている必要があります。

その上で、社会で活躍できる実践的かつ専門的な人材を育む教育内容や施設・設備、収入の見込みなどが十分かどうかを精査し、学識者等で構成する私立学校審議会の意見も踏まえ、認可しています。

入学者の確保や施設・設備の更新が困難であることなどによる、学校や学科の廃止についても、適切に対応しております。

引き続き、このような方向性で認可等対応してまいります。

 

▶後藤香織

引き続き、何も変更せず行っていくということで、残念です。

 

私立学校法について

▶後藤香織

次に、私立学校法について、お聞きします。

現行の私立学校法では、理事長が合法的に権力を持つことができることや、理事会に意見する評議員会、監査をする監事制度が機能していないこと、学校運営の不透明性などの課題が指摘されてきました。

学校法人の中には、創立者一族が学園運営の実権を握り続ける一族運営や、理事長のワンマン経営により私物化されているところも一部存在し、学校法人へは、不祥事防止のより実効性ある措置、社会福祉法人や公益法人と同等のガバナンスを発揮するための改革が求められています。

こういった課題や、2021年11月の日本大学元理事長による脱税事件など、私立大学の不祥事が相次いだことを受けて、学校法人のガバナンス改革を進める必要があるとして、本年5月「改正私立学校法」が公布され、同法制定以来の大幅な改正が行われました。

そこで、この改正のポイントについて、特に、知事所轄学校法人に関する部分について、ご説明願います。

 

▶私学振興・青少年育成局

まず、国は、改正の趣旨について、「我が国の公教育を支える私立学校が、社会の信頼を得て、一層発展していくため、社会の要請に応え得る実効性のあるガバナンス改革を推進する」ための制度改正としております。

改正の主なポイントは、理事の選任、解任や理事長の選定について、これまで、「寄付行為の定めによるもの」とされておりましたが、改正後は、理事の選任、解任は、理事選任機関が行い、理事長は理事会により選定するとされました。

また、これまで、評議員の定数は「理事の2倍を超える数」とされておりましたが、改正後は、「理事を超える数」とされ、かつ、理事と評議員の兼職が禁止されたことなどが主な改正のポイントでございます。

 

改正法施行後の対応について

▶後藤香織

ご説明あったように、兼業NGだけでなく、親族等の特殊関係のある者の就任にも厳しい制限がつき、理事会、監事及び評議員・評議員会の建設的な協働・相互牽制の体制を確立するための改正が行われたところです。

この改正に関しては、改正法施行後、2024年度来年度中に、審査基準や寄附行為などの規定整備、学校説明会を行うよう、県は、国から求められています。

そこで、どのようなスケジュールで行うのでしょうか、お聞かせください。

 

▶私学振興・青少年育成局

改正法の施行に備え、各学校法人は2024年度末(令和6年度末)までに寄付行為の変更認可を受ける必要があります。

国は、私立学校法の具体的な取扱いを定めた政省令等を、今年度中に示すこととしており、県ではその内容を踏まえて、今年度中に認可に係る審査基準の改正を行います。

その後、2024年度(令和6年度)になり次第、各学校法人を対象に説明会を開催し、秋には認可申請の受付を開始したいと考えております。

 

▶後藤香織

混乱を起こさないよう、しっかり対応をよろしくお願いいたします。

 

いじめ防止対策について

▶後藤香織

私立学校については、本県でいじめによる自殺事案、暴行事案等がたて続けに発生しました。

お亡くなりになられた女子生徒に心からお悔やみを申し上げます。

また、ケガをされた男子生徒の心身の回復を心よりお祈り申し上げます。

特に、自殺事案については、学校や県の対応から、本県私学行政の信頼を大きく損ねてしまったことは、明らかです。

いじめ防止対策推進法に、より実効性を持たせるための「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、いじめの「重大事態」を把握するはじまりについては、事実関係が確定した段階で「重大事態」としての対応を開始するのではなく、「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければならない、とされています。

つまり、いじめなどを訴える遺書を残して生徒の自殺が発生した時点で「疑い」があるわけですから、学校は発生報告を県に行うべきで、ガイドラインに基づき、現在も速やかに調査が進んでいるものと思います。

そこで、私立学校において「いじめ防止対策」に関する周知はきちんと行われていたのか、今後の周知の強化の取組について、お聞きします。

併せて、先の文教委員会の閉会以降、調査はどのように進んだのか、進捗状況を教えてください。

 

▶私学振興・青少年育成局

私立の小・中・高等学校は、いじめ防止対策推進法に基づき、「学校いじめ防止基本方針」を策定しています。

この基本方針は、学校の実情に則した内容に随時見直すこととされており、県では、定期的に各学校に対し、この必要性を周知し、各学校から基本方針を提出させています。

また、今年7月に国は、学校に重大事態が発生した場合の速やかな対応を促すため、「いじめ重大事態調査の基本的な対応チェックリスト」を作成しました。

県では、各学校にこのチェックリストを配布し、重大事態が発生した際は、これによる適切な対応を行うよう指導しました。

こうした周知を行ってきたにもかかわらず、今回のような事案が発生してしまいました。

県では、改めて、9月の新聞報道直後に、また、10月初めに、学校に対し、いじめの疑いがある事案が発生した場合には、速やかな報告を県に行うよう通知したところです。

また、各私立学校の経営者や事務長に対する研修会、教員に対する生徒指導いじめ対策研修会で、いじめ事態の発生報告や調査など、対策を徹底するよう求めてまいります。

なお、今回の自殺が発生した事案につきましては、県からの指導やご遺族の意向を踏まえ、学校の設置者である学校法人のもとに、弁護士や学識経験者などで構成される第三者委員会を設置し、改めて調査を行うとの報告を受けております。

 

ガバナンス強化によるいじめ対策について

▶後藤香織

10月初めにも報告をするよう周知を行ったとのことです。

文教委員会閉会後の進捗状況については、報道等ですでに知りうるもの以外はありませんでした。

これまでのいじめ対応の事例を見ても、トップである校長等の判断により、事案の結果が左右された事例が報告されており、これまで同様の「私学の自主性」を最重要視するような私学行政では、今後は複雑化する学校現場に対応できないと考えます。

今回の法改正で、私立学校のガバナンス強化が求められていますが、今回のいじめ事案の報道をみると、法令遵守などの面で対応が不適切と考えます。

そこで、法改正を契機として、いじめ対策についても、ガバナンス改革の観点から指導が必要と考えられますが、県の考えをお聞かせください。

 

▶私学振興・青少年育成局

法改正により、学校法人における権限や役割分担が明確になり、組織運営の透明性が確保されるものと期待されます。

これに伴い、いじめ対策においても、法令の遵守、保護者とのコミュニケーション、調査、県への報告など対応手順、手続の適正化に繋がるものと考えています。

県では、学校がいじめによる重大事態に該当する事案を調査する場合、公平性・中立性を確保するため、弁護士、精神科医、学識経験者、スクールソーシャルワーカーなどの専門家で、事案の関係者と直接の人間関係・利害関係を持たない第三者による組織の設置を指導助言しているところです。

今回の事案においては、学校ではなく、学校法人が第三者委員会を設置して、事実関係を明確にすると学校から伺っています。

今後、より公平性・中立性が高いこのような方法について、他の私立学校に対しても周知する考えです。

 

▶後藤香織

法令遵守は最低限だと思いますので、周知はぜひよろしくお願いします。

 

今後の私立学校の指導のあり方について

▶後藤香織

今回、私立専門学校のあり方や改正私立学校法、いじめ対策も含め、私立学校のガバナンスの観点からお聞きしてきましたが、これまでの質疑を踏まえ、今後の私立学校の指導のあり方について、局長の決意をお聞かせください。

 

▶私学振興・青少年育成局長

今回の法改正は、私立学校が社会の信頼を得て一層発展していくため、実効性のあるガバナンス改革を推進するために行われます。

この改革は、学校法人が主体的に、法人組織における権限や役割分担を明確にすることで、充実した組織運営を目指すもので、私立学校の教育の質の向上にも良い影響を与えるものと期待されています。

県としても、改革の取り組みを支援するとともに、適切に実施されるよう指導して参ります。

予測困難な状況でも、社会で活躍できる人材を育成することは、地域にとっても、少子化により、経営に厳しさを増す私立学校にとっても、大変重要です。

このため、私立学校の設置、改廃などに当たっては、卒業後の進路が明確であること、進路に沿った教育内容が提供されること、入学者が確保できることなどの観点から、指導助言してまいります。

いじめ対策においては、学校が自ら定めた基本方針に沿って、対策に取り組む必要があります。

ガバナンス強化により、法令遵守や手続きの適正化などの意識を一層深めてもらうとともに、国作成のチェックリストなども活用して、実効性のある取組が行われるよう、学校の経営者や管理者に対して、繰り返し、粘り強く助言指導して参ります。

 

▶後藤香織

局長から、私立学校の指導に関して、力強い決意をいただました。

これまで、私がさまざまお聞きしてきましたが、この件に関する知事の認識をお伺いしたいので、委員長、知事保留のお取り計らいをよろしくおねがいいたします。

 

2023.10.10 知事保留・答弁

私立学校のガバナンス強化について

▶後藤香織

民主県政クラブ県議団の後藤香織です。

修学支援新制度の見直しと私立学校のあり方について、知事にお伺いいたします。

先日、このことにつきましては、私立専門学校のあり方や改正私立学校法、いじめ対策も含め、私立学校のガバナンス強化の観点から、担当課長と局長に質問をさせていただきました。

国では「大学の経営困難から学生を保護する視点」から修学支援新制度の機関要件の厳格化が始まり、県が所管する私立専門学校もその流れを受けています。

また、改正私立学校法により、学校法人の、より実効性あるガバナンス改革が進み始めています。

教育機関をとりまく流れが、大きく変わる中、先日の質疑で、私学振興課からは、引き続き、これまでと同じ方向性で認可等対応していく、とのことでしたが、設置認可権者である県が、県内の私立専門学校のあり方、方針をもっと考え直す必要があるのではないかと考えています。

もちろん、私学を否定しているわけではなく、公立とは違った役割を担っている私学の特色を十分に発揮した教育は大切です。

しかし、私学行政において、私学経営に重きを置くのか、生徒に重きを置くのか、という点で「生徒のため」を中心に置く「あたたかい私学行政」を行っていただきたいと思っています。

例えば、授業料の変更などといった学則変更は県に変更届を出す必要があります。

中には授業料は変更されても、学則変更されていない事例もあると聞きます。

実際の変更がきちんとなされてるのか、また、なぜ変更が必要なのか、変更は妥当なのか、といったチェック機能の強化が必要だと思います。

今度の私学法改正による寄附行為作成の際にも、県において審査基準やモデル寄附行為などの必要な規定を整備することを求められています。

他に、私学行政の適正を期する機関に「私立学校審議会」があります。

この私立学校審議会は、以前は構成員の3/4以上を私立学校関係者にすることとされていましたが、「詳細な規定が各都道府県における私学行政を過度に規制しかねない」ことや「既得権の擁護として機能している面もあるのではないかという厳しい指摘や批判がある」ことから、2004年の改正時に、その比率指定がなくなりました。

自分たちのことを自分たちでやっているとならないよう、私学関係者だけでなく、公立学校関係者や保護者、大学教授などを入れたり、多様な視点で行われることも私学のガバナンス強化を後押しすることにつながるのではないでしょうか。

そこで、寄付行為や学則変更等の県への届出・申請時のチェック機能の強化、私立学校審議会の委員に私立学校関係者以外の方を多く任命するなど、私立学校のガバナンス強化を後押しする取組を検討してはいかがかでしょうか。

 

▶知事

私立学校法の改正による私立学校のガバナンス改革は、学校法人の主体性が尊重され、自ら法人組織の権限や役割分担を明確にすることで、社会の信頼を得るとともに、私立学校の教育の質の向上にもつながるとされています。

県としては、寄附行為等の変更に関する手続きを支援するとともに、認可にあたっては、法に沿った改革の内容になっているかどうか、厳正に審査いたします。

そのうえで、補正など必要な場合は、適切に助言指導を行ってまいります。

私立学校審議会は、私立学校の現場の実態や経営ノウハウに精通した委員による幅広い知見からの審議が必要であることから、本県では、幼稚園、高等学校、専門学校の役員が多くを占めており、全国的にもこのような傾向があります。

そのほか、県議会議員、学識経験者、弁護士、公認会計士の方々も参画しています。

審議会は、学校の設置、廃止や学科、課程の改廃の認可などを審議しており、学校の設置などにあたっては、社会の要請や学生のニーズを反映し、経営安定に資するものであるかという視点が重要であります。

これを踏まえ、各委員が中立・公正な立場で、卒業後の進路、進路に沿った教育内容、入学者の確保の見通しなどを、専門的な見地で審査し、議決いただいています。

審議会では、様々な意見が出されますが、必要に応じてそれを反映した上で、最終的には全ての委員が納得する形で議決が行われており、現状でも客観的な審議がなされていると考えております。

 

▶後藤香織

今後も、私立学校のガバナンス強化を後押しする取組を行っていただきたく、要望させていただきます。

 

知事の自殺事案に対する認知と指示について

▶後藤香織

次に、いじめ対策についてお聞きします。

今定例会に出された新規事業として、学校の先生方などにいじめの相談をすることをためらう、迷う、悩む、という児童・生徒、保護者に対し、学校外から支援するため、社会福祉士や弁護士などが相談に応じる「福岡いじめレスキューセンター」が11月から開設することになっています。

知事には、いじめに悩む方々に何とかしたいという強い思いがあったのではないかと、感じております。

しかし、本県、私立学校において、いじめが原因の疑いがある自殺事案、暴行事案という悲しい事案が相次ぎました。

特に、先月14日、福岡市内の私立学校で発生した生徒の自殺事案が新聞で大きく取り上げられました。

そこで、知事は、いつ、どのように、どういった内容の報告を受け、それに対してどのような、指示をされたのでしょうか。お聞かせください。

 

▶知事

まず、未来ある若い生徒さんの大切な命が失われたことについては、大変痛ましく残念に思います。

心からご冥福をお祈りし、御遺族の皆様に深くお悔やみ申し上げます。

自殺事案については、最初に新聞報道のあった先月14日の朝に知りました。

担当課長から、福岡市内の私立高校で5月に生徒の自殺事案が発生していたこと、同校から報告書の提出がなされていないので一両日中に報告書を提出するよう、同日の朝、指導したとの報告を受け、私からも学校に対して厳しく指導するよう担当課長に指示いたしました。

 

▶後藤香織

今後もこういった初動対応には、法遵守の上、厳しく対応していただきたいと思います。

 

いじめの認知件数の近年の傾向と重大事態が続いた知事の認識について

▶後藤香織

文部科学省が10月4日、不登校やいじめなどの実態を調査した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」を公開し、いじめの認知件数が増えているとの報道が連日あっています。

また、9月末には、県内の私立中学に通っていた女子生徒がいじめが原因で、学校の対応が不適切で不登校となったとして、学校法人などを提訴する、といったことも起きています。

そこで、本県私立での、いじめの認知件数の近年の傾向はどうだったのか、また、いわゆる「重大事態」が、本県私立学校において、たて続けに発生したことに関して、知事はどのようにお感じになっているのでしょうか、認識をお聞かせください。

 

▶知事

本県私立小・中・高等学校におけるいじめの認知件数の合計は、令和元年度までは増加傾向にありましたが、新型コロナによる行動制限の影響により、令和2年度に191件に減少し、令和3年度217件、令和4年度154件と推移しています。

先月、自殺案件に続けて、私立中学校においてもいじめ重大事態となる案件が報道されました。

いじめは絶対に許さない、いじめはどの子どもにも、どの学校でも起こりうる、という意識を持って、いじめの防止対策に取り組んでいくという思いを強くしたところでございます。

 

いじめに対応できる学校の組織づくりに向けた支援について

▶後藤香織

いじめの防止対策への思いを強くした、との認識をいただきました。

女子生徒がお亡くなりになった翌日には県警から連絡があり、把握しておきながら、1ヶ月間課内で放置されていたことなど、初動体制については、文教委員会などでもこれまで指摘等があってきた通りで、県もプロジェクトチームを作ることなど、明らかにしています

個々のいじめに対しては、学校における適切な、かつ、組織的な対応が大切になってきます。

いじめに気付いた教員の抱え込みや、役職・立場に関係なく個人の判断ではなく、組織で情報共有ができる学校づくり。

いじめが早期に発見され、隠蔽されない組織づくり。

また、いじめがおきにくい、いじめを許さない学校づくり。

その学校組織づくりを行っていくためには、私学のガバナンスも十分に発揮されなければならないと考えます。

そこで、今後、いじめに対応できる私立学校の組織づくりに対し、県としてどのように指導・助言を行うなど、支援を行っていくのか、お聞かせください。

 

▶知事

重大事態の未然防止のためには、いじめを早期に発見し、組織として共有し対応する必要があります。

このため、各学校は、いじめ防止対策推進法が定める「学校いじめ防止基本方針」を策定しています。

この方針では、個々の教職員ではなく組織として一貫した対応を取ることができるよう、早期発見のための取組や発見・通報を受けた時の対応、対策のための組織などに関して定めています。

各学校はこの方針に沿って対策に取り組む必要があります。

県では、方針に対する学校の意識を高め、内容の組織的な共有が持続されるよう、3年に一度、内容の再確認と必要な見直しを指導しています。

また、方針に基づき、対策が適切に行われるよう、各私立学校の経営者や事務長に対する研修会の場を通じ、各学校の全教職員が、同じ方向を向いていじめ防止に取り組んでいくよう、繰り返し、助言指導してまいります。

 

要望

▶後藤香織

ありがとうございました。

今後も、いじめに適切に対応できる学校作り、そのためのより一層の行政の支援をお願いして、質問を終わります。

※知事との質疑の内容が、2023年10月11日西日本新聞21面 に掲載されました。

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