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2025年6月定例会・一般質問における私の質問、「カネミ油症について」の内容です。

2025.6.23

カネミ油症認定患者数と医療費支払いに与える影響について

▶後藤香織

「カネミ油症」について、知事にお伺いします。

カネミ油症は、1968年、北九州市のカネミ倉庫が製造した米ぬか油に、PCBやダイオキシン類などの有害物質が混入し、その油を使った食品を摂取した人々が健康被害を受けた、日本初の大規模な食品公害事件です。

通常の食中毒事件では「原因食品を食べて症状が出れば被害者」ですが、カネミ油症事件では「認定」されないと被害者とは認められません。

その認定は、年1回行われる検診を受け、その結果を福岡県、長崎県と全国油症治療研究班が総合的に判断しており、事件発生当時は、福岡・長崎・広島など西日本を中心に全国で14,627人が被害を届け出ました。

その後、家族内に認定者がいる場合は、従前の診断基準によらず、申請のみで認定されることとなり、2025年3月時点で、認定患者の数は、亡くなった方も含め、累計で2,389名となったものの、今も多くの被害者が「未認定」のままとなっています。

国は2012年に「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」いわゆる「救済法」を施行し、健康管理手当や医療費の助成などの認定患者への支援制度を創設しました。

あわせて、カネミ倉庫側も、医療費の自己負担分として、年間およそ6,000万円を支出しているとされています。

この財源の一部となっているのが、政府備蓄米の保管業務に対して支払われる保管料であり、国は支援の一環として、カネミ倉庫に対し備蓄米を優先的に預ける措置を講じてきました。

しかしながら、昨今の物価高騰等を受けた政府備蓄米の放出により、同社が受け取る保管料収入が減少し、医療費の継続的な支払いに支障が出るのではないかという懸念があります。

そこで知事にお尋ねいたします。

現在、福岡県内に在住している油症認定患者の方は何人おられるのか、また、政府備蓄米の放出による保管料収入の減少が、医療費支払いに与える影響について、県はどう把握しているのか、お聞かせください。

 

▶服部誠太郎 福岡県知事

県内在住の油症認定患者は、6月17日時点で472名となっています。

国は、カネミ倉庫株式会社による、認定患者に対する医療費の支払いを支援しており、具体的には、政府備蓄米の保管を同社に委託し、倉庫を安定的に活用することで、将来にわたって医療費が確実に支払われるようにしています。

今回の政府備蓄米の放出による影響について、患者団体、カネミ倉庫及び国による三者協議の場において、国から、今後も、政府備蓄米の保管量の水準を維持できるよう努める考えが示されたと伺っています

 

認定患者が安心して医療を受けられるための県の取組について

▶後藤香織

2点目に、今後も油症患者が自己負担なしで安心して医療を受けることができるために県としてどのような取り組みを行っていくのか、お聞かせください。

 

▶服部誠太郎 福岡県知事

認定患者の油症に関する医療費については、患者が契約医療機関を受診すれば、窓口で自己負担分を支払う必要はありませんが、他の医療機関を受診した場合は、一旦支払った上で、カネミ倉庫に請求する必要があります。

国では、毎年、認定患者の健康実態を把握する調査を行っており、この中で新たな契約医療機関の要望を把握しています。

県は、国から要望内容の情報提供を受け、契約医療機関になっていただけるよう依頼しているところであります。

県としては、今後も国からの依頼に基づき、患者が必要な支援を受けられるよう取り組んでまいります。

 

未認定患者への取組等について

▶後藤香織

6月13日、カネミ油症被害者の子や孫を対象にした国の「次世代調査」の報告会が福岡市にて開催され、公表済みだった「先天性疾患の発生率は一般より高い」とした見解を撤回しました。

次世代患者の認定基準のあり方について、議論を深めることが求められている中で、被害者やその子・孫世代を含む当事者の方々は「被害の実態把握が不十分」と深刻な不安を抱いておられます。

幅広く認定がされるよう願う当事者の方々の声に対し、発生県でもある福岡県としても、この課題に正面から向き合い、丁寧な対応が求められると考えます。

そこでこの項の最後に、2024年度に一斉検診を受けた方の数、そのうち、未認定患者は何名となっているのかお示しください。

その上で、次世代を含む未認定患者の実態把握、相談体制の強化など、当事者に寄り添った取組みを検討する考えがあるのか、知事の考えをお聞かせ下さい。

命と安心を守る観点から、知事の前向きなご答弁をよろしくお願いいたします。

 

▶服部誠太郎 福岡県知事

昨年度の一斉検診の受診者は196名で、そのうち県内在住の未認定患者は48名となっています。

次世代を含めた未認定患者への取組については、先ほど申し上げた三者協議の場で検討されており、患者団体の要望を受け、令和3年度から国において次世代の未認定患者に関する実態調査が開始されました。

県としては、この国の調査に協力し、調査票と案内リーフレットを対象の方に送付しました。

また、国の委託を受け、油症相談支援員を配置し、認定患者の健康支援に併せて、未認定患者からの相談にも対応し、新規認定等のための一斉検診の受診に繋げる支援を行っているところであります。

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