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2022年9月定例会における、私の一般質問「女性の健康、森林の無断伐採について」の内容です。

 

後藤香織: 女性の健康について

皆さん、おはようございます。民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。

まずはじめに、女性の健康についてです。女性は、生涯を通じて、ホルモンバランスが大きく変動し、その影響で、男性よりも、心と体に大きな変化が生じます。年代によって注意したい症状や病気も異なり、仕事、結婚、育児などのライフイベントも多岐にわたることから、各ライフステージの特徴に応じた健康づくりが必要となります。

その上、政治の分野において、男性が多くを占めてきたことから、女性の性と生殖に関する健康と権利、いわゆるセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツに関する施策は、諸外国と比べても、遅れている状況にあります。その一例として、経口避妊薬、いわゆるピルは、避妊目的のみならず、PMS(月経前症候群)の症状の緩和にも有効とされています。

1970年代には、副作用が多い「中用量ピル」がすでに医薬品として処方されていたものの、副作用の少ない現在普及している「低用量ピル」は、日本ではなかなか認可がされませんでした。1999年になってようやく認可されましたが、国連加盟国の中では最も遅く、低用量ピルが入手可能になってから、実に34年も経っていました。

その一方で、男性対象のバイアグラは、薬が市場に出回った1998年3月、アメリカ国内で爆発的人気を博しました。アメリカのみならず日本でも死亡報告があったにも関わらず、7月には承認申請が出され、わずか半年で認可されました。この事態は、海外メディアも「男性が支配する社会における女性軽視」「日本は依然、男性による長老支配のまま」と報じられるなど、国内外から大きく批判されました。

このように女性特有のものと思われている症状や病気などへの支援は、社会でなかなか理解が得られていないのが現状です。今回は、これらの中から未だ支援が行き届いていない更年期障害に関してお聞きします。更年期は、女性で45~55歳ごろ、男性でおおむね40歳以降を指し、特に、男性にも更年期障害に似た症状があることは十分に知られておらず、解明が進んでいない状況にあります。こういった現状から厚生労働省は、今年、初めて更年期障害の意識調査を行いました。

この調査によると、医療機関への受診により、実際に更年期障害と診断された割合は、女性は40代で3.6%、50代で9.1%、男性では40代で1.5%、50代で1.7%となっています。日常生活への影響について、「とてもある」「かなりある」「少しある」を合わせた割合は、女性は40代で33.9%、50代で27.1%。男性は40代で30.6%、50代で25.1%と、男女ともに3割近くが日常生活に支障をきたしていることがわかりました。しかしながら、症状があったとしても医療機関を受診しない方が約8~9割を占めていました。また、同調査では、主な更年期症状の内容や程度、その対処法、医療機関を受診する目安などが、更年期に入る前にほしかった情報として挙げられています。そこで、更年期障害に関する周知・啓発が不足しているのではないかと考えますが、これまで県ではどのような取組をしてきたのか、現状をお聞きします。その上で、今後のより一層の周知・啓発の取組について、知事にお尋ねします。

 連合東京の調査では、40代以上の働く女性の約7割が更年期障害と思われる症状を感じ、その2割近くが有給休暇を取って対応した、とのことです。また、NHKの「更年期と仕事に関する調査2021」によると、40代と50代で更年期の不調があるとみられる男女およそ5300人のうち、症状が原因で仕事を辞めた人は女性が9%、男性が7%で、これを元に「更年期離職」を経験した人の数を推計すると、今の40代、50代で女性がおよそ46万人、男性がおよそ11万人にのぼると試算されています。更年期障害を理由とした休みが取りやすい制度づくりが必要だと考えます。

 そこで2点目に、県職員において、更年期障害のため休暇を取ることはできるのでしょうか、その現状を伺います。また、職員が取得しやすくなるよう、生理休暇や不妊治療のための休暇のような休暇制度を創設してはどうかと思いますが、知事の見解をお尋ねします。

 

知事答弁: 女性の健康について

更年期障害とは、40歳を過ぎた頃から現れる、様々な体調の不調や情緒不安定などの症状により、生活に支障をきたす状態である。ほとんどの場合、治療によって症状が改善すると言われているが、初期症状が、だるい、寝付けないなどの曖昧なものであるため、発症に気付かず、医療機関を受診しないことで、症状が悪化する場合がある。

県では、これまで、保健所において、更年期の症状や対処法などについて理解を深めるための講演会を開催するとともに、電話や面接による相談支援を実施してまいった。国が、今年、更年期症状・障害に関する意識調査を実施した結果、症状のある方の約8割が受信していないことが分かった。このため、今後は、これまでの取組に加え、更年期症状の内容や受診の目安、相談窓口などの情報について、県のホームページへの掲載や啓発物の配布などを通じて県民の皆様に周知し、早い段階で受診につながるよう、取り組んでまいる。

県では、職員が更年期障害のために休養を必要とする場合、最大90日まで取得できる有給の病気休暇の制度を活用することができる。頭痛や動悸といった更年期に現れる症状であっても、他の病気を理由に病気休暇を取得している可能性もあるが、更年期障害を理由とした病気休暇の取得状況をみると、令和元年度から3年度までの平均で、取得人数は年間2.3人、1人当たりの年間の取得日数は約10日となっている。

こうした本県の現状に加え、国や他の都道府県においても、病気休暇により対応していることを踏まえると、現在の病気休暇制度の枠内で一定対応できているものと考えている。

 

後藤香織:森林の無断伐採対策について

 次に、森林の無断伐採対策について、知事にお聞きします。日本は国土の約3分の2が森林であり、農林水産統計によると、本県の県内における2020年の「林業産出額」は全国7位を誇っています。近年は、ウッドショックによる木材価格の高騰、木材需要の高まりにより、森林の伐採が増加する中、伐採業者の活動エリアは県境を越えて広域化ています。このような中、境界の確認不足等による無断伐採、森林法に規定する伐採及び伐採後の造林の届出等の制度の認識不足などによる「無届伐採」といった事案が全国でも増加傾向にあります。被害届が提出される事案も起きており、国も「森林窃盗、無断伐採事案発生の未然防止対策の強化等について」都道府県に依頼しているところです。ここで、森林犯罪とは、森林法の197条~213条に規定されている森林窃盗、窃盗の贓物に関するもの、森林失火、森林放火がそれに当たり、3年以下の懲役または30万円以下の罰金などの刑となっています。伐採届を出さずに伐採する「無届伐採」は、行政罰で100万円以下の罰金となっています。森林窃盗罪の成立には(わざと)故意に、の証明が必要であり、間違ってうっかり伐ってしまった「誤伐」は窃盗には該当しません。林野庁では、2018年から毎年「民有林の無断伐採に係る都道府県調査」をしており、2019年では、全国で95件、そのうち、九州・沖縄は最も多い43件でしたが、有罪判決はわずか5件となっています。

 こういった特性から、一部の悪徳業者は、立木(たちき)を伐って盗む「盗伐」が目的であったとしても、「無届伐採」、伐採届を出していても、その範囲の境界線を越えての伐採や違う場所を伐採してしまった、つまり「間違って伐ってしまった」とすれば、犯罪にならないということは、私は非常に大きな問題ではないかと思っています。

 国では、この対策として、本年4月に伐採届の改正を行いました。こういった改正の主旨も踏まえ、森林窃盗、無断伐採を未然に防止する取組が最も重要だと考えます。

 そこで、県では、無断伐採を防ぐ対策として、現在どのように取り組んでいるのか、またそれらの取組によって、本県の無断伐採の状況はどのようになっているのか、あわせてお答えください。そもそも、森林は、広くて音が外に聞こえにくく、出入り自由という開放性や境界が不明瞭で占有があいまいである、といった特性から、犯罪が起きやすいといわれています。全国で約3割を占める所有者不明森林や、所有者の意欲低下、所有者が県外にいるなどで管理が放棄されている森林では、無断伐採が行われたことさえも、気づきにくくなります。

 九州の多くの人工林が利用に適した時期を迎え、森林の無断伐採の被害が広がる中、特に被害の大きい宮崎県では、2017年、2019年に県内自治体や関係団体と協定を結び、情報提供、伐採パトロール、無断伐採木材の流通停止などの無断伐採の未然防止策を行っています。

その上、さらに連携を深め、監視を強化する目的で、今年の3月に宮崎県と熊本、大分、鹿児島の南九州4県は、立件されるなどした悪質な業者をリスト化し、情報共有する取り組みを全国に先駆け、始めました。

 九州の他県がこういった取組強化を始めた中で、本県の監視体制に不備があれば、いつ本県の森林に県境を越えて、盗伐目的の無断伐採が増加してもおかしくない状況だと危惧しています。

そこで2点目に、無断伐採は県境を越えて起こる可能性もあることから、近隣県との連携や無断伐採の監視対策の強化が必要だと考えますが、今後どのように対応していくつもりか、知事の考えをおきかせください。

無断伐採をされた現場では、他人の山を勝手に伐って木材を盗むため、伐採も乱暴で、山を荒らし、土砂崩れなどを引き起こすことも懸念されます。森林は一度土壌が削られると、再び森に戻すのに長い年月がかかるため、悪質な環境破壊行為とも言わざるを得ません。日本だけでなく、世界でも盗伐問題は深刻です。世界的にも合法性や持続可能性に価値を求めるESG投資が増えています。こういった見えない価値を重視し、行政が応援していく姿勢が大切だと考えます。無断伐採が深刻な社会問題であることを発信し、阻止するためにも、知事の真摯なご答弁をよろしくお願いいたします。

 

知事答弁:無断伐採の防止対策の状況について

森林法では、保安林において伐採を行う場合、伐採とその後の造林計画について、県への許可申請が義務付けられている。それ以外の民有林については、市町村への事前の届出に加え、今年4月の法改正により、伐採後の届出なども義務付けられたことで、誤って伐採したと偽る窃盗目的の伐採の抑止が図られている。

こうした森林法の規定に加え、保安林については、県がパトロールを行っており、近年、無断伐採の事案は発生していない。

それ以外の民有林については、市町村がパトロールを行っており、無断伐採の件数は、一昨年度は3件、昨年度は0件となっている。これらパトロールに加え、県では、無断伐採を早期に発見できるよう、市町村が地図上で届出の有無を確認できるシステムを、昨年度から運用しているところである。また今後、県のホームページやパンフレットにより、今回の法改正も併せ、森林所有者等に制度の周知を図ってまいる。

県としては、こうした取組により、無断伐採の防止と早期発見に努めてまいる。

県では、これまで、他県から県境を越えて無断伐採された事案は確認されていないものの、九州南部では、このような事案が発生していることから、九州各県と無断伐採の事案や対策について、定期的に情報共有を行っている。

その上で、県では、市町村や森林組合から提供される他県の事業者の伐採情報をもとに、伐採計画が順守されているか確認し、必要に応じて指導を行っている。

また、国は、伐採された場所が衛星画像で確認できるシステムを開発し、今年6月から運用を開始している。

これにより、所有者不明森林などの無断伐採の抑止と効果的な取締りが可能となることから、県では、伐採が本格化する10月以降、定期的に県内の伐採状況をこのシステムで確認し、その情報を市町村とも共有することで、県境を越えた無断伐採の早期発見につなげることとしている。

県としては、こうした取組を通じ、九州各県との連携を図りながら、監視を強化してまいる。

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